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STORY

 人類は有史以来の危機に直面していた。銀河辺境地の開発基地が次々と連絡を断っていったのだ。そしてやがて、太陽系内の各植民地が超常現象による厄を受け、地球でも世界各地にその兆しが現われ始めていた。
 原因は高速で近付いてくる巨大な惑星であった。そこから放射される、特殊なエネルギー波がそれらの超常現象を引き起こしていたのだ。

 その後の調査により、その惑星には知的生命体が存在しており、そのエネルギー波はそのものによる事が判明した。そして、その惑星には異種なる生命の強い意思の力が働いている事も分かった。何者をも廃絶しようとする邪悪な思念がそこにあった。このままでは、その意思に我々のすべては滅ぼされてしまうだろう。
 人類に残された道はただ一つ。その敵に敢然として立ち向かい、与えられた脅威を打ち砕くことだ。
 その惑星は『ZOLGA(ゾルガ)』と名付けられた。
 しかし、その惑星の防御はこの上なく堅かった。派遣された最強の艦隊はことごとく破れてしまった。それは、その惑星の防御戦力が著しく大きかっただけではなく、強力なシールドがその惑星を包み込んでいたのだ。

 この時点で惑星ゾルガはある意思によって創造されたものだと言う事が判明した。月とほぼ同じ大きさと質量を持つ、それはまさしく要塞であった。惑星ゾルガはその進路に立ちはだかる星々を砕きながら、宇宙を進み続けていたのだ。
 そして今、それは地球へと接近を続けていた。

 一時は絶望の淵に立たされた人類だが、やがて、そのシールドを破る手だてを見いだすことが出来た。人類の英知を終結し、ついに一瞬ではあるがシールドを無効にする事が出来た。とはいえ、進入できたのは『VAXOL(ヴァクソル)』と呼ばれる、エネルギー転換装置を組み込んだパワード・プロテクター『VAXOL-STORMER(ヴァクソル・ストーマー)』ただ一機であった。ここに人類はその興亡を『ヴァクソル・ストーマー』に託したのだった。

 『ヴァクソル・ストーマー』の武器は、エネルギー連射装置の『EPUDE(エピュード)』のみである。本来は極めて強力な武器であるが、進入の際にシールドにエネルギーを消費しすぎたために、惑星ゾルガに降り立った時には最低の出力しか放出することができなかった。さらに強力なエネルギー転換と放射をするためには、何らかの手段で自分のエネルギー保有量を増やさなければならない。さもなければ、『ヴァクソル・ストーマー』が惑星の中心部分に存在すると思われる邪悪な者を倒し、人類を危機から救う事は出来ない。

 惑星ゾルガは地球によく似た自然環境を備えていた。しかし、何処かが違う。次々に現われる敵が『ヴァクソル・ストーマー』の行く手を阻む。明らかに何者かが内部へと進むのを阻止しようとしている。
 やがて、その自然、その構造物、そして向かってくる幾多の敵が、ある一つのものの意思が創り出した星、一つの世界であった事を知るのだ。

 敵はまるで『ヴァクソル・ストーマー』を試すように、またはもてあそぶように迫ってくる。しかし、それがいかに強力な敵であろうと倒さなくてはならない。また、そのためには自機のエネルギーが失われないように、いや、より強大な敵に打ち勝つためにも、『ヴァクソル』のエネルギー転換が可能な物質を見つけ出して、そのエネルギー量を増やさなくてはならない。もちろん、自機を操る高度な技術と秀でた直観力により、いかに惑星ゾルガの最深部へと到達するかが問題である。

 惑星の中心部には、その意思、巨大な宇宙生命体DOGVA(ドグヴァ)が座していた。純粋な意思、エゴイズムとナルシチズムがその強大なエネルギー場に存在した。排他的、かつこうかつなそのものは憤然と『ヴァクソル・ストーマー』に牙をむいた。

3Dシューティング新世代

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HEAVY ARMED STORMING VEHICLE VAXOL
ハート電子産業より87年3月中旬に発売された3Dシューティングゲーム。
あまり耳馴染みのないソフトメーカーだけど、MSXではクレイズとかいうシューティングも発売していた模様。ちなみにクレイズはクォータービュー視点。ハート電子は変わったスクロールがお好みだったのだろうか? MSXソフト検索サイトTagooでハート電子産業の発売リストを見てみた所、どちらかというと同社はユーティリティソフトのメーカーというイメージが強い気がする。

MSXでの3Dシューティングを並べると、ゼグサス、ポーラースター、ズーム909、ゼグサスリミテッドと本作VAXOLになるのだけど(MSX1タイトルのみ)、メガロムという事もあり本作が一番派手で、MSXの3Dシューティングの代表格になると思われる。

3面クリア時に条件を満たしていないと1面にZAPするなど何かと難易度は高い。
個人的にはMSX版スペースハリアーとして絶賛していた。
ちなみに、100万点を超えたハイスコアの写真をハート電子産業に送ると、先着100名にVAXOLポスターが貰えたらしい。貰った人はいるのだろうか?


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こちらは移植元のPC-8801版。
システムは同じだけど、ステージ数が8とMSX版より増えている。
また、エンディングも普通にあり、ゲームとしての完成度も高い。


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スペースハリアー。とても良い響きです。
スピード感溢れる派手な画面に、ネバーエンディングストーリー的な派手な演出。時折響き渡るくぐもった「ヴァー」って声… 85年の年末にリリースされたスペハリは、大型筐体というのもありゲームセンターの華でした。でも、おっさん、スペースハリアーって実際ゲーセンではあんまりプレイした記憶がないんですよね。セガの大型筐体のゲームって1プレイ200円とか300円とかしたし(笑) なので、スペハリも専らギャラリーとして楽しんでいました。
そのような訳で、ダイエーとかニチイの屋上階のゲームコーナーで寂しい思いをしていたおっさん。MSX-FAN創刊号でVAXOLの記事を見た時は興奮しましたよ。ウチのMSXでもスペハリが出来る! って(笑)

でも、実際本作を手に入れたのは2〜3年後とかだったような気がします。だって、ファンタジーゾーン、ガリウス、グラディウス2とか何かと入用だったし。そうこうしている内にも面白いゲームが出てたしで、本作の入手は後回しになっていったんですよ。コナミが悪いんです。
ちなみにその間スペハリは「主だったマイコン機種全般」を含めていろんな機種に移植されたんだけど、最後までMSXにはMSXだけには移植されませんでした。別にMSXではよくあった事なんだけどね。でも、ベーマガの電波新聞社の広告を見る度にモヤモヤしていたのを憶えています。うん。よくもハブったな! な〜んて今でも思ってないから(笑)

まあ、そんなカンジで、スペースハリアーの代替品としてウチで活躍していたVAXOLなのですが、これはこれで結構面白かったんですよね。
体力制になったので即死はしなくなったし、武器も種類があったので単調にならずに済みました。グラフィック面は割りを食ったけど、その分スピード感は良く出来ていたと思います。

結構気に入っていた本作なのですが、今プレイしてみると破壊音が少し弱いって部分がちょっと気になったかな。もう少し効果音関係のボリュームを上げてくれたら、シューティングをしてるぞ! って感触を楽しめたのになと残念に思いました。今頃になってアラが見えるとは、口が肥えたのでしょうね。ボスもダメージ受けてるのかどうか分からなかったのが辛かったです。

まあ、そのような良い所と悪い部分のある本作ですが、ドムの代わりのロボットやドラゴン、スクールウォーズ(※当時のドラマ)の歌のサビの部分が聞こえてくる3面のBGM、脳汁が溢れて止まらなくなる4面の柱地獄、ラスボスの王蟲(※風の谷のナウシカより)など、本作ではスペハリでは決して味わえない見どころ聴きどころがいっぱいなので、是非機会があれば楽しんでもらいたい一品です。

最後に本作のエンディングの事を書いて締めようかと思います。
今回の元となる記事を書いた2011年5月時点ではMSX版のVAXOLのエンディングは確認できませんでした。移植元のPC-88版のVAXOLではエンディングを確認しているのですけどね。
3面にZAPがある事から、エンディングにも何かしらかの条件ががあるのではと思い、最終面100万点超しクリアや3周クリアなど、いろいろ条件を変えて試してみたのですが、おっさんではエンディングには辿りつけませんでした。エンディングが無くて当たり前という時期のゲームじゃないので、かなり気掛かりなんですけどね。



攻略補記

・カーソルキーで移動、SPACEキーで攻撃、SHIFTキーで武装の選択になります

・画面上部のE-Fのバーがエネルギー残量
・エネルギー残量の上の点灯しているマークが現在選択している武装
・時々流れてくる緑色のエネルギーボールを取るとエネルギーがチャージされる
・一定量のエネルギーが溜まると選択できる武装が増えていく
・選択可能な武装はピンク色、選択できない武装は灰色で表示
・エネルギー残量は武装レベルだけでなく、体力ゲージでもあるので被弾すると減っていく
・被弾してエネルギーが減ると、当然武装の選択範囲も減ってしまう

・武装は4種類
・武装の選択は SHIFT キー
・初期武装 バウ・ショット(BAW-SHOT)
・二番武装 サンダー・ボラー(THUNDER-BOLAR):連射できる
・三番武装 ガン・ボロー(GUN-BOLLOW):ショットガンのように範囲攻撃ができる
・四番武装 ノヴァ・スプリンター(NOVA-SPLINTER):単発ながら強力な威力

敵に攻撃を当てにくい時にはガン・ボローを、逃げ撃ちに適しているのはサンダー・ボラー、ボス戦にはノヴァ・スプリンターと使い分けるといいかと思います。ただ、ノヴァはエネルギー残量が9割近くないと使えません。

・ステージラストのボスは弱点意外は攻撃が通らない
・アクアゾーンのボスは頭部が弱点

・3面クリア時点でスコアが20万点に達していないと1面にZAPします
 条件が厳しいので、1〜3面はやや好戦的に進んだほうがいいでしょう

・最終面の2回目の中ボスの後に出てくる障害物、下に流れてくる5つとも回復アイテムです

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